自宅主人公・日暮白夜。
鍵介×主人公。
鍵介のおうちでよからぬことをする3秒前。
ベッドの下から「何か」を見つけてしまった主人公の話。
「鍵介。今から俺のことは先生って呼んでいいからね」
そう言った白夜に、鍵介は思わず、「はあ?」と言いそうになったのを堪えた。
「いや、意味がわかりません、先輩。ついでにいうと、どうしてこんな体勢になったのかも説明が欲しいです」
「大丈夫、何も言わなくていい。俺に任せて」
対する白夜は、全く聞く耳を持たない。
現状、白夜はなぜかソファに鍵介を押し倒し、その上に乗っかっている。男として想い人にこういう状態に追い込まれるというのは、確かにある種ロマンではあるが。あまりに唐突過ぎて、逆に冷静になってしまっていた。
「何を見たんです」
「何も」
「嘘ですね。先輩嘘つくときまっすぐ目を見ますから」
「…………」
やはり冷静に指摘してやると、白夜は図星だったらしく、黙ってしまった。そして薄く頬を染め、ちらりと鍵介の方を見ながら、こう白状する。
「その。この間鍵介の家にお邪魔したとき。鍵介のベッドの下から、本が見えて。何の本かなって思って……そしたら、その、先生と生徒が、その……そういうことをするやつだったから……」
内容を思い出したらしく、白夜はついに真っ赤になってしまっていた。
ベッドの下にある。そういうことをするやつ。つまりは、鍵介のあずかり知らないところで、そういう本が見つかっていたらしい。
「先輩が家探しをするタイプとは思いませんでした。次は場所を考えます」
冷静なままの頭でそう反省してみた。しかし、白夜はそれで止まるつもりはないらしい。
「鍵介、そういうシチュエーションが好きなのかなあって……大丈夫、鍵介が望むなら、俺は頑張るから」
「ああ、怒る方じゃなくてそっちに行くんですね先輩は……じゃなくて! 頑張らなくていいです! っていうか、読んだんですかあれ!? ちょっ、先輩っ」
……その後、なんとか白夜の下から這い出した鍵介は、白夜を説得するのに数時間を要したという。