Skip to content

不満じゃなくて

Posted in Caligula-カリギュラ-, and テキスト

鍵介×主人公(女)。
フライングなので名前は出てません。
先輩のおっぱいを大きくしてほしい鍵介の話。
何故か二人がμちゃんと仲良しな超時空。注意。

 

 

 

 ……どうしてこうなった。

 「先輩のおっぱいを大きくしてください!」
 力いっぱい信じられないこと鍵介が叫んだかと思ったら。
 「おっけー! 好きだね好きだね、男の子だね~!」
 それをあっさりと女神が承諾した。
 「はい?」
 あまりのことに、私の思考が全く追いつかないでいるうちに、ぽん、とやけに軽い音が真下で響く。
 直後、肩に柔らかい重力が発生した。

 ……なんか、重い。肩が。

 恐る恐る真下に視線を移す。そこにはさっきまでは無かった、やけに大きな二つの膨らみがあるではないか。
 思考はフリーズした。もしくは、動いてはいるが非常に遅い。十年くらい前のインターネット読み込み速度の方が、いくらか速いと言ったところだ。
 「わあ~! いい感じだね! うんうん、小さいよりは、おっきいほうがいいって言うもんね!」
 徐行運転な思考の向こうで、μが嬉しそうに手を叩いて喜んでいた。そして、妙なテンションでやっぱり鍵介も喜んでいる。
 その姿を見たら、妙に怒りがわいてきた。
 「鍵介」
 「はい?」
 「『はい?』じゃねーよ」
 足を振り上げ、その横っ腹に思いっきりケリを入れてやった。
 ぐほぉ、だか、ぶふぉ、だか、変な悲鳴を上げて鍵介が軽く吹っ飛ぶ。
 ……デジヘッドにやる要領でやったのだが、ちょっと想いを込めすぎたか。まあそんなことはどうでもいい。
 私は吹っ飛んだ鍵介につかつかと歩み寄り、上から睨み付ける。
 「他に言うことあるでしょうが。ええ?」
 「せ、せんぱ……げほっ……ちょ、落ち着いて……」
 これが落ち着けるか馬鹿野郎、ともう一括したら、鍵介が急いで私の間合いから飛びのいた。逃げ足の速い奴。
 私はやたらと重くなった胸を両腕で支えるように腕組みをした。ちょっと肩が楽になる。
 「私の胸に不満があるってか?」
 「失礼な、先輩のおっぱいに不満なんかあるはずないでしょう!」
 もう一回間合いに飛び込んで蹴ってやろうかと思った。なんて力強く反論するんだこいつは。いつもの五倍は自信に満ち溢れている。
 鍵介はさらにこう重ねた。
 「不満はありません! ありませんが……要望ならあります!」
 「やっぱこいつ×すわ」
 今度は迷わず間合いを詰めてもう一回、回し蹴りを見舞っておいた。

 再び吹っ飛ぶ鍵介を横目に、私はぽかん、としているμに向き直り、根気強く元に戻すよう説得を始めたのだった。