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Nature

Posted in Caligula-カリギュラ-, and テキスト

「本性」。琵琶主5話。部長=小鳥遊 和詩です。暴力表現がありますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪物が次に現れたのは、もう自分がすっかり大人になったある日のこと。
 長い時間をかけて作り上げた安息の地は、ほかでもない自分自身の手で粉々に崩れ去った。
 また、目の前には誰かが血だらけになって倒れ、俺は真っ赤になった自分の手をぼんやりと見下ろしている。
「カズ、もうやめろ」
 ふと、そばで声がした。ともだちの声だった。
 俺にこの世界を教えてくれたひと。「お前には才能がある」といってくれたひと。
 俺を救ってくれたひと。
 けれど。
「――――うるせえな、」
 怪物はそれすらあっさりと切り捨てて。壊して。
 まだのうのうと、俺の中で生き続けている。

 

* * *

 

「部長ならゲーセン行くって言ってたぞ。今日は1クレ50円だからとかなんとか」
 部室でそんな情報を得て、琵琶坂の足は自然とゲームセンターへ向いた。無表情で、ただ黙々と歩き続ける。胸の内に燻ぶるのはそこはかとない苛立ちだ。
 部長は気まぐれなところがある。いつも部活が終わったら自分と対戦したいと犬のようにまとわりついてくるくせに、時々フェイントでもかけるように姿をくらますことがあるのだ。
 行先は大体の場合ゲームセンターと相場が決まっている。
 彼の怪物としての狂気をかき消し、肯定し、包み込んでくれる場所。そこで華やかにスポットライトを浴びる夢をきっと彼はまだ捨てきれていない。
『世界大会になんかもう出ない』
 かつて琵琶坂と対峙したとき、地の底から聞こえるうめき声のような悲痛な声で彼は言った。
 けれどあれはたぶん、嘘だ。その悲痛さがなによりもそれが嘘だと雄弁に語っていた。自分自身は息をするように嘘がつけるからこそ、琵琶坂は他人の嘘を見透かすのは得意だった。
 認めてほしい。許してほしい。肯定してほしい。自分がどうしようもなく人と相いれない存在であることを。
 ほんとうは喉から手が出るほどそれを渇望しているくせに、彼はそれを自分で押さえつけてしまうのだ。身体を繋いだあの日、それをやっと芯まで理解した。
 怪物でありながら、だれよりも怪物を恐れている少年。琵琶坂からしてみれば、そのやり方はあまりにじれったい。
「ほんとうに、往生際が悪いね」
 意地悪く苦笑して、彼はふたたび足を進めた。

 

* * *

 

 ゲームセンターに足を踏み入れると、最初に出迎えるのはまぶしいほどの電光と、爆音で紡がれる電子音だ。
向かう場所はアーケードゲームコーナー。前にも迎えに行ったことがあったので、たどり着くのは簡単だった。案の定、見慣れた後ろ姿がすぐ目に飛び込んでくる。
 そして声を掛けようと息を吸い込んで、やめた。
「…………」
 びり、と肌を焼くような集中が伝わってくる。ゆっくりと回りこんで横顔をとらえると、やはり彼はあの目をしていた。
 怪物の目、と琵琶坂は呼んでいる。人を殺しそうな……もしくはたった今、誰かを殺してきたと物語るような、非現実の色をした瞳。
 向かい側には誰かが座っている。と、いうことはおそらく彼は誰かと対戦しているのだろう。
 ここに置いてあるものの遊び方など、琵琶坂はひとつだってしらない。どんな高度な仕組みで動いていようが、彼にとってはすべて子供だましのオモチャに過ぎない。
 だが、和詩がそのオモチャために、狂気の域に足を踏み入れるくらいの集中を見せていることも理解できた。おそらくそれを乱せば、喉笛を噛み千切られるだろうということも。
 もちろん簡単にやられるつもりはない。だが無駄に痛い目をみるのも趣味ではない。だから、触れずに腕を組んで近くの壁にもたれかかる。
「……っは」
 実のところ、その緊張はほんの数十秒だけのことだった。だがそれはきっと、向かい合っていた人間にとって途方もなく長い時間だったことは想像に難くない。
 疲れたようなため息を漏らして、和詩の目がゆっくりと人のそれへと戻っていく。それをほんの少し名残惜しく思いながら、琵琶坂は腕組みを解いた。
「終わったかね」
「あれ、琵琶坂先輩」
 今まさにその存在に気付いたという風に、和詩がこちらを見上げた。失礼だな、と軽く言い返すと、疲れのにじむ顔に取り繕うような笑みを浮かべて見せる。
「うん、惜しかったけど負けた」
 同じ疲れでも、徒労と達成感では全く違う色がある。そう続ける彼の声には、確かに徒労の色のほうが濃かった。
「なんだ。ザマはないな」
「うわ、ひどいお言葉が……あ、俺もう出るし、よかったら一緒に帰ろう。相手に挨拶してくるわ」
 人懐こい笑顔を作って、部長が椅子から立ち上がる。ゲームセンターでの対戦相手など初対面だろうに、律儀なことだと呆れた。そんなにも楽しい試合ができたとでもいうのだろうか。そんなことを考えたら胸の中の苛立ちが少し大きくなった気がした。
「どーもありがとうございましたー。俺そろそろ帰るんでまた……」
 背後で軽薄な声がする。さっさと済ませろと心の中で悪態をついたその時だった。
「お前、カズ……か!?」
「!」
 異変を感じたのは、対戦相手らしき男が和詩の名前を呼んですぐだった。
 先ほど消え失せたはずの、あの肌が焼ける感覚。それが背を向けた向こう側から再び流れ込んでくる。振り向くと、部長の雰囲気が見たことのないものに変わっていた。
「カズだよな。あんとき予選にいた……なんでおまえがここにいるんだよ!」
 この騒音まみれのゲームセンターの中でもその声はよく聞こえるということはよっぽどの金切り声なのだろう。思わず眉をひそめる。相手は相当興奮しているようだが、どうやらそれは対戦のせいではなさそうだった。
「お前、まだゲームやってていいと思ってんのか? この暴力野郎!」
 相手は琵琶坂のことが目に入っていないらしく、一方的に和詩だけを糾弾していた。言葉を浴びせられている当の本人は、凍り付いたようにその場を動けずにいるようだ。
「お前のせいで俺もあいつも……なんであんなことして、まだのうのうと遊んでいられるんだよ!」
 びりびりという熱さが加速して、どこかに火が点きそうだとすら錯覚する。しかしそれは、激昂している相手のものではない。ただひたすらに罵倒を受け入れ続けている和詩から感じる空気だった。
 彼はうなだれ、呼吸の音すら聞こえないほど静かだった。それが嵐の前の静けさのように異様で、得体のしれない怖気のようなものを伝えてくる。
 琵琶坂にはわかる。今あの前髪の奥でまた怪物が蠢いているのだ。目の前にいる獲物は、自分が獅子の尾を踏んでいることに気づいていない。
 はじめて、その殺意が自分以外に向けられるところを見た。けだものが獲物を狙うため、姿勢を低くして機会をうかがうような研ぎ澄まされた殺意が、すぐ間近でぱちんと小さく爆ぜた気がした。
「…………ごめん」
 しかし、それを押し殺しきって、彼は蚊の鳴くような声でつぶやく。ひりつくほど飽和している悪意とは裏腹に、あまりにか細く、弱い言葉だった。
 眉を顰める琵琶坂の袖をひったくるようにつかむと、和詩はそのまま踵を返す。
「いこ。先輩」
 その言葉に返事はしなかった。だが、この騒がしい男に付き合うのもごめんだったので、琵琶坂はとりあえず従うことにする。
 だが、その背中に再び罵倒が投げつけられた。
「おいッ。なんとか言えよ! そんなんで納得いくかよ!!」
 瞬間。激しい靴音がして、琵琶坂が振り返った時にはもう後戻りできない間合いだった。男は興奮した様子で和詩の手を強くつかみ上げる。痛みに顔をしかめはしたが、彼はそれでも瞳の奥にたたえた殺意を解放しようとはしない。
 なぜ、とまた琵琶坂の胸に苛立ちが募る。
 なぜこんな狼藉を許すのだろう。もしもこれが自分なら、こんな行いを絶対に許しはしない。その汚い手を振り払い、呪いを吐き出す口を封じ、動かなくなるまで打ちのめす。間違っても謝罪の言葉など紡いだりするものか。
「おい……」
「邪魔なんだよお前っ」
 決してかばうつもりなどなかった。ただ、この煩い虫けらにこれ以上しゃべってほしくなかっただけだ。だが、獅子の尾を踏んでいるとは夢にも思わないその男は、大きくなった気を治めることができずに、その怒りの矛先をそのまま琵琶坂に向けた。
 ちっ、と思わず舌打ちが漏れたその刹那、風船が割れるように。
「うるせえな殺すぞ」
 あっさりと、和詩の拳が振りぬかれた。琵琶坂へ向けられていた悪意が一瞬で消えて、どしゃっという鈍い音とともに男が床に放り出される。
 ほんとうに、一瞬の出来事だった。3人でもつれ合っていた時とは裏腹に、物足りないくらい視界が開けて広かった。
 ふと視線を向ける。そこにはヒトの形をした怪物が立っていた。その顔がゆっくりとこちらを向いて…………視線が合う。
「……!」
 思わず息をのんだ。何度も見たことのあるはずのあの目が、全く違う空気を纏ってそこに存在していた。
 いや、確かに同じ殺気ではある。だが、それは琵琶坂が見たことのあるそれを何十倍にも膨れ上がらせたもののように思えた。
(人を殺しそうな目)
 琵琶坂はいつもこの目をそう呼んでいた。だが今は違う。今のこの目のなかにある激情はすこし違う。
 もしも殺意にも鮮度というものがあるとしたら、今じぶんの目の前にあるのは間違いなく和詩のなかでもっとも鮮やかな殺意だ。
 今にして思う。これまで自分が対峙してきた怪物は、獲物を狩る直前やもしくは狩り終えたあとの姿だった。それなら今の彼は、さしずめ獲物に食らいついている瞬間の姿か。
 怪物の牙がもっとも研ぎ澄まされ、彼らがもっとも他者から恐れられる瞬間。
 それは時に分をわきまえない弱者に。糧となるべき捕食対象に。あるいは自らの縄張りを侵略するものたちに向けられる覇気。
(なにを、馬鹿な……)
 ぎり、と琵琶坂はその一瞬の出来事のうちに理解した。こぶしを握り、かすかに震わせる。
 怒り。妬み。嫉み。羨望。そのすべてをぐちゃぐちゃにかき混ぜて作ったようなどろどろした感情がそこに握られているような気がした。
 認められない。認められるわけがない。この自分が。琵琶坂永至が。
 ――――何者かに本気で恐怖するなんて!
「…………は」
 ぎらぎらとした人ならざる者の目と見つめあい、心臓の鼓動がどんどん激しくなる。ふつりと冷や汗が浮き立ち、頬を流れたような気がした。
 しかし唐突にその緊張は途切れる。琵琶坂と目が合ってしばらくすると、最初は肌を斬り付けるようだった殺意が見る見るうちに和らいで、なにかに安堵するような色を纏い始めたのだ。
(安堵? なにに――――……)
 一緒になって、自分の肩からも力が抜けるのがわかった。弛緩していく体に合わせて慎重に息を吐きながら思考を巡らせる。
 かくして琵琶坂の聡さは、すぐにその解答を導き出した。
 あの、視界に入れたものすべてを引き裂きそうにも思えた怪物は。まさか。

――――僕が無事であることに安堵したとでもいうのか。

 ざわ、と肌が泡立つのがわかった。
 そうだ。あの化け物は、自分を守ろうとした。自分が傷つけられることは一切いとわなかったくせに、琵琶坂が危害を加えられそうになったとたん隠していた牙を剥いた。そう考えた瞬間、ゆっくりと唇の端が持ち上がるのがわかった。
 戸惑いが一瞬で恍惚に逆転する。怒りは万能感へ。羞恥は自己肯定感へとすり替わった。
「…………」
 和詩は立ち尽くす琵琶坂を一瞥すると、そのまま視線を外して床に転がった男のほうを冷たく見下ろす。
「……っ、ひ、ひ…ぃ…っ!!!!」
 手加減は一切しなかったのだろう。赤く腫れあがった頬をかばいながら、男が情けない悲鳴を上げていた。どうやら歯をやられたらしく、痛々しく無様な姿になっている。和詩はそれに覆いかぶさるようにして、容赦なく胸倉をつかみ上げる。
 ひゅ、と鳴った風切り音は、拳が再び振り上げられた音だったのか。それとも男の悲鳴が吐き出される予兆だったのか。
 そして、断続的に異音が鳴り響き始めた。砂……いや、もっと別のなにかが詰まった袋をひたすら殴打し続けるような、生々しい音だった。
「…………っは、ははは、はははははッ」
 こらえきれず、口から笑いがこぼれだす。それを慌てて手で抑え込もうとするが、それは叶わなかった。
 そして、哄笑。
 狂喜する琵琶坂の笑い声と。怪物が獲物をなぶる音と。
 その一瞬で、世界は狂いきった。

 

* * *

 

 それからどれだけの間、その光景を見ていたのだろう。怪物に蹂躙される哀れな男の罵声は泣き声に変わり、やがて呻き声になっていった。最初は腫れるだけで済んでいた顔も、今では元型もわからないほど醜く歪んでいた。眉を顰めるような異音が何度も聞こえてきて、人はあんな状態になっても生きていられるものなのだなと遠い世界の出来事のように感じていた。
「まだやるのかね」
「…………」
 もう何度目になるかもわからない拳を振り上げて、しかし琵琶坂の声に和詩はぴたりとその動きを止める。
「メビウスで死ねば、現実世界でも死んでしまうんだろう。まあ、それで君に不都合がないなら構わないが」
 その目が再び、ゆっくりとこちらに向けられた。
 だがもう確信があった。あの目は自分を殺そうとはしない。その炎のように激しい殺意は、あの男にだけぶつけられたものだ。
 やがて、たっぷり数秒の間を置いて、和詩はかすれ声で応えた。
「ああ……そうだったな。もう、やめとくか……」
 世界のすべてから興味をなくしてしまったような様子だった。そしてさっきまで振り上げ男を痛めつけていた手をゆっくりと開いて、驚いたような表情を見せる。
 力任せに人を殴り続けたせいで、そのこぶしは血だらけだった。相当な痛みがあるはずなのに、彼自身は今やっとそれに気づいたという風に動揺していた。
 怪物のものになった瞳は、いつまでもいつまでも元に戻る気配を見せなかった。

 

* * *

 

「世界大会、いけなかったんだ。実は」
 薄暗い部屋の中で、彼はぽつりぽつりと話し始めた。
 ゲームセンターを出てからというもの、和詩はほとんど抜け殻のような状態で、まともに受け答えもできなかった。
 まるで、親を見失った迷子のようだとおもった。ついさっきまで目に付くものすべてを噛み千切ろうとする獣に見えたのに。
 行く当てを求めてさまようその手を引けば、あっさり従って家まで連れ込むことができた。あまりにあっけなくて、苦笑すら漏れたほどだ。
「ラスベガスには行ったことがあるんじゃなかったのかい」
 なんとなく明かりをつける気になれず、薄闇の中で目を凝らす。怪物の目はまだ元に戻っていなかったが、その顔は蒼白で、体もかすかにふるえていた。
「あれは二回目の世界大会のとき。一回目は辞退したんだ。色々予定がかみ合わなくてさ……代わりに予選で準々優勝した奴が行って、そいつはその年のチャンピオンになった」
 はは、と乾いた笑いをこぼしたあと、細く長いため息の音が聞こえた。掠れるようなノイズが聞こえるのは、涙をこらえているからかもしれなかった。
「準々優勝? 準優勝者じゃなくて?」
「準優勝者は俺が怪我させたせいで行けなくなったよ。それがさっきの奴」
 ふ。と、乾いた笑いはそのまま溶け崩れるように自嘲の笑みへと変わる。
「『お前よりよっぽどいい試合ができる』っていわれたんだ」
 その時のことをできるだけ忘れて生きてきたのだろう。語る声からは感情がひどく乏しい。それは琵琶坂に聞かせているというよりむしろ独り言に近かった。
「安い挑発だよな。そんなんで頭のなか真っ白になって。なんでコイツがって気持ちがあふれて、押さえられなくて。爆発して……止めに入ってくれた親友まで巻き込んで、殴って、殴って…………そのくせ、最後にはいつも後悔するんだ」
 しぃん、と、静けさの音ともいうべきものが響いて、しばらく無言の間が開いた。互いに、何を考えているのか探りあっていたのかもしれなかった。
 琵琶坂はゆっくりと目を細める。目の前にいるのはもうとっくの昔に人間の擬態をやめた怪物なのに、どうしようもなく哀れで弱々しい。
「ああもあっさり次の年に行けるってわかってたら……殴らなかったかな、俺」
 やがて、先に口を開いたのは和詩のほうだ。琵琶坂が顔を上げると、ぽた、と涙が一滴、その膝に落ちたところだった。
 音もなく、獲物を狙う蛇のように注意深く手を伸ばす。俯いている彼にはこの指先が触れるまでなにもわからないだろう。
「いいや」
 琵琶坂の指は、そのまま和詩の髪をそっと持ち上げた。そのまま焦らすように距離を縮め、やがて柔らかな頬の感触が伝わってくる。
「君ならいずれ誰かを傷つけていただろう。最初に言ったはずだ。君はそういう生き物なんだ」
 いつもそうだ。なにかが起こるような空気を纏いながらも、この手はあっさりとこの彼にたどり着いてその肌を撫でる。
 怪物は、いつだって拒絶できるのにそれをしない。キスをしたときも。体を重ねたときもそう。
 彼は自分を理解してくれる、琵琶坂永至というもうひとりの怪物を必要としている。
「ああ……そうだな。きっと……生まれたときから……」
 言葉として聞こえてきたのはそこまでだった。それより後の声は、声以上のものにはなっていなかった。
 泣き声なのに、ただひたすらに疲れ切ったような声だ。もう一歩だって歩きたくないと駄々をこねる子供のような……それは琵琶坂がいちばん嫌いな声だった。
「うるさいな」
 だから、その口をふさいだ。唇と唇が触れ合い、ほんの数舜だけ、まるで初恋どうしの恋人がするような甘いキスがあった。
 でもそれは本当に一瞬だけで、すぐ互いの本性をそのまま映したような、激しい口づけへと変わっていく。
 舌を絡め、貪るように和詩の口内を荒らす。
 まだ。まだだ。まだ侵していない場所なんていくらでもあると。
 殺意を折られた怪物を前に、ただただゆっくりと、理性は快楽の熱に溶かされていった。