ジタン×ガーネット。
* * * * *
それは、数少ないガーネットの休日に、二人で出かけた時のことだった。
「そういえばね」
ガーネットがメイド達に聞いて知ったという、最近話題のカフェ。そこで午後のお茶を楽しみながら、ガーネットはそう切り出した。
向かいの席で、ジタンはちょうど、ナイフとフォークを武器にバターの乗っかったパンケーキと格闘していた。しかし、思わぬ真剣な声に顔を上げる。
対するガーネットは、何かを賢明に思い出そうとするかのように、難しい顔をしていた。
「この間言われたんだけど、恋愛って、惚れた方が負けなんですって」
…まさかガーネット相手にこんな話が出てくるとは思わず、ジタンは固まった。
誰だ、そんな話したヤツは。ガーネットがプライベートで話すなんて限られている。スタイナーなわけはないし、ベアトリクスも違う。なんだ? タンタラス関係ならブランクか、ルビィ辺りか?
「それで、聞いたあとに考えていたの」
犯人探しに夢中になって固まり続けていると、ガーネットは気づく様子もなく先を続ける。そして不思議そうな瞳で、ジタンに尋ねた。
「私とジタンの場合、どっちが負けたのかしらって」
言われた瞬間、一瞬ぽかん、としてしまった。ガーネットもきょとん、としてジタンを見つめている。
…少し遅れて、なんだか可笑しくなって吹き出してしまった。
「え? ど、どうしたの? どうして笑うの?」
ガーネットが慌てて顔を赤くして、「わたし、変なこと言ったかしら」とおろおろする。
ジタンはどうにか含み笑いを堪えて、そして顔を上げる。おろおろした恋人の顔を見つめ返して、そして苦笑した。
オレの意見を言わせて貰えば。
「無自覚なところからして、勝敗はあきらかだな」
そう言うと、ジタンは再び笑い出した。